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2004 年 11 月 2 日     カテゴリ:活動報告
発言しながら暮らしたい!
〜国立ネットへの投書コーナー〜
誰も降りない回転木馬 
−イラク日本人人質事件に思う

 10月27日に香田証生さんの人質事件第一報が流れた映像を見たとき「えっ、無理だよ」とかなり絶望的な気分になったのを覚えています。その次に小泉首相の「自衛隊撤退に応じない」という言葉です。即座に死刑宣告をされたように私には聞こえました。その後報道されたのは「なぜ、彼はこんな無謀な事をしたのか?」という内容です。「だから、最悪の状態になってもしかたがない」という雰囲気がひしひしと伝わってきました。「誰も彼を助けてくれないよぉ」と呟いたとき、私も「彼が助かるために」と思う気もちを表現できませんでした。イラクで最初の邦人人質があった時、どうにか助かって欲しいと友人たちと話していたのに……、3人の命より大事なものがあるのだろうか、と憤慨していたのに……。「バカなことをしたもんだ!」という話題の勢いに「彼を助けたい」という声を出せない私がいました。
 実は、私の16歳の息子は今、自分自身にも周りにも無謀なことを繰り返している毎日です。ハラハラしながらその様子を見守っていますが、そのまま今回の状況と重なってしまいました。当然、やってる内容はまったく違うのですが、心情が重なってしまったのです。我が息子が見殺しにされていくようでした。そう思いつつも同じように私もただ傍観しているだけでした。最低でもただ一つ彼を助けるかなり確実な方法はあったのに。大事な我が子を「助けてください」と訴えることができない状況は、はたしてまともな世界なのでしょうか?
 「とても、悲しい。つらいの」という私の言葉に「しかたがないよ」と、つれあいは言う。・・・ちがう。彼(香田さん)のことを言ったのではない。私のことだった。何も言うこともできず、何もできなかった自分が情けなくつらかった。そして、沈黙させてしまうこの状況がとても悲しくつらかったのです。
 復興支援だという。撤退するとさらにテロリストの思うままになる。自衛隊はイラクにいるだけでアメリカの士気を高めるのかもしれません。武力を行使すればするほど抵抗する力も残虐なものになっている。時間をかければ、武力を使わなくてもイラクの平和を探しだすことはできたかもしれなかったと今でも思います。
 皆でまわり続ける回転木馬に乗っかってしまいました。今、多くの人が降りようとしない。知らない間に私も乗っていたようです。ひとりずつ降りていかないと。
 最後に香田証生さんの冥福をお祈りします。そして、何もしなくてごめんなさい。
    −都内に住む19歳と16歳の息子を持つ母親より−


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